PBW

シナリオ01と02の幕間

みよる≒アズリオンデ 2026/06/04 22:06
0

「幕間 坂口 昌浩01-02」
──特別な病気や外傷がないにもかかわらず、年齢を重ねることで生理的に起きる聴力低下です。主な原因は、内耳の蝸牛にある「有毛細胞」と呼ばれる音の振動を電気信号に変える神経細胞の減少です。加齢によって、これらの細胞は形が損なわれたり失われたりし、音の情報の脳への伝達が減少します───

スマホの画面に移る説明文。これが、先程の私、坂口 昌浩が受けた「加齢性難聴」であり……医者と言う「身体の歴史を読み取る専門家」から伝えられた、『お前はもうガタが来たロートルだ』という受け入れざるを得ない、現実である。

人間は未来に常に背を向けて後ろ歩きする。と表現したのは誰だったか。加齢性難聴は誰にでも起きる可能性はあっても、なりやすい生活習慣というものがあるらしい。専門家ではないが、と前置きしていたが、診察してくださった沖原医師は、暗に「それは背中から突然受けた不幸ではなく、お前の今見える過去の歩みに原因ではないのか?」と問うている気がした。

68歳、ついこの間まで人並みに働けていつもりだったのだが、我が体はその『人並み』に見せるため、色んな部分のアラートを誤魔化してきたらしい。自分の事も、きっと妻の事も──
いや、よそう。聴えないせいか、妙に思考が深く、暗くなっていく。ここは病院だ、人の往来のある待合室、勝手に苦悩して周りに目を向けられるのはまずい。私は耳は聴こえなくても、ボケているつもりはないんだ。人の視線には敏感に生きている。

そんな待合室には、患者が料金支払いや処方箋の印刷待ちなどで、ひっきりなしに循環している。お陰で待ち時間も長い…。
島唯一の医療施設、渡神島の当初の構想通り近代的な佇まいで運営されておるように見えるが、ただ1箇所。周りに置いていかれたように色あせた部分がある。ファッション雑誌、それが待合の奥の方にある椅子の脇に、いくつか積まれてあるのだ。それを待合にいる患者も、歩いている看護師も、会計をしている事務員も…誰も気にしていない。

試しに手に取ってみた。雑誌の表紙特有のツルツルした感触はもうなく、少しシワが目立つ。日焼けしたのか、色もおそらく当初の発色からは変わっているだろう。いつのだ…202──10年以上前じゃないか。誰の…いや、なぜこんなものがずっと置かれているのか。他のものも多少新しくもおおかた10年程度前のものだった。本というのは放っておくと中にホコリが溜まり、それ目当てにノミやダニが湧いてくる。病院という、衛生面に特に気を遣う場所としては考えられない。思わずそれを投げ出そうとして、さすがにはしたなく思い、そっと元に戻した。

それにしてもこんな古い雑誌が置かれているなんて──まるで「最後に触った人が捨てろ」と押し付けあって誰も触ってもいない状態──小さな区画の、古い雑誌の処分まで手が回せないほど人手が足りていないのか。とにかく患者の対応だけでもなんとかする、そんな「仕事を捌くことで精一杯」なスタッフ陣が、ガタがきはじめている自分に重なった気がした。

(この病院も、私と同じようなものか)

そう思うと、この雑誌の山を「ゴミ」と呼ぶのに少し抵抗が出てきた。──うん、まぁ、なんでもいいや。この雑誌の事はこれから「情報化社会の化石」とでも呼ぶことにしておこう。そうしておけば、いつか誰かがこいつの存在に気づいて、掘り出して(ゴミ出しして)くれると信じられる気がする。

まぁ、もう私はこいつらには触らないだろうが。

みよる≒アズリオンデ 2026/06/05 16:06
0

これ書いたはいいものの、今見たら誤字脱字はあるし、長いし、シナリオ01-02じゃなくてターン1-2だし、眠たい時に勢いだけで書くものんじゃないですね…チラ裏として笑っていただけるとありがたいです。

投稿するには ログイン してください。