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Turn 2

シナリオ03_錆びた金属と、南のざわめき

配信済

締切: 2026/09/27(Sun)10:00

Current Situation

崩落箇所の話は、この一週間ですっかり島に広まっていた。見に行った子どもたちの間では、「あれ、扉みたいな形をしてるらしいよ」という話がまことしやかに囁かれている。実際に近くで見た者の証言ということもあって、ただの又聞き以上の重みを持ち始めていた。
それでも、放棄重機置き場の延長という空気は、まだそう簡単には崩れていない。

シンは相変わらず、あの一帯には近づこうとしないらしい。理由を聞かれても、答えは返ってこない。年配の住民の間では、南部にまつわる古い話をぽつぽつ思い出す者もいるようだった。若い世代がろくに知らないような、ちょっとした言い伝えの類らしい。

一方で、少し妙な話も持ち上がっている。あの場所を掘り返す許可は誰に取ればいいのか——統括局の窓口にそう尋ねた者が、この一週間で何人かいたらしい。だが返ってくるのは、どれも歯切れの悪い答えだった。「南部林は、うちの管轄じゃないんです」。では議会かと聞けば、そちらも所管がはっきりしないという。誰の土地でもないわけではないはずなのに、誰の管轄なのかを答えられる人間が、この島に一人もいない。窓口の間でも、ちょっとした困りごととして話題になり始めていた。

さらに、本土から確認の人間が来るという話も、いよいよ具体的になってきた。出所の分からない構造物が見つかった場合の、決まった手続きらしい。来れば、安全確認が済むまでは立入禁止になるという。崩落箇所に入れるのも、今のうちかもしれない——そう考える者が、今週は少し増えているようだった。

そういえば、年の半分を島で過ごすリン・ジェイコブスが、今シーズンも島に来ている。オジイと並んで浜で釣りをしている姿を、見かけた者もいるらしい。

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崩落箇所の話は、この一週間でますます尾ひれをつけて島を駆け巡っていた。子どもたちの間では「扉みたいな形をしてるらしいよ」から一歩進んで、「中に何かあるんじゃないか」「開けたら宝が出てくる」といった話まで飛び交っている。実際に自分の目で見た子どもは数えるほどしかいないのに、伝聞はもう何周かしているようだった。学習センターでは、誰かが描いた「扉の想像図」がひそかに回されていたが、どの絵も少しずつ形が違っていた。

一方、大人たちの間で広がっていたのは、もう少し実務的な話だった。あの場所を掘り返したり手を入れたりするには誰の許可がいるのか——今週も、統括局の窓口でそう尋ねる者が何人かいたらしい。窓口の橋本は、そのたびに書類をめくり、しばらく画面を睨んでから、同じような困り顔で同じような返事をしていたという。「南部林って、うちの管轄じゃないんですよね」。では、どこの管轄なのか。その問いには、橋本自身もうまく答えられないらしい。週の後半には、その話はもう島のどこでも目新しいものではなくなっていた。「役所なんてそんなもんさ」と笑う者がほとんどで、深刻に受け止める者は多くなかった。

出所の分からない構造物が出てきた場合には本土に照会を上げる決まりがある、という話も、少しずつ輪郭がはっきりしてきていた。上げれば確認の人間が来る。来れば、安全のためにしばらく立入禁止になるかもしれない——まだ確定ではないものの、そんな噂が島の日常会話に混ざるようになっていた。「じゃあ今のうちに見ておいたほうがいいんじゃないか」と誰かが言い、「何を見るんだ」と誰かが混ぜっ返す。笑いながら、長靴を探しに行く者もいた。

週の半ばには、崩落箇所の斜面がまた少し崩れたという話も流れた。大きなものではなく、居合わせた者にも怪我はなかったらしい。ただ、台風から日が経っても、あの一帯の地盤がまだ落ち着いていないことは、それで誰の目にもはっきりした。

人が南部に集まれば集まるほど、来ない者の存在は目立った。南部林の獣道なら誰より知っているはずのシンが、今週も一度も現場に姿を見せなかった。ケンが誘いに行ったが、途中まで来て引き返したらしい。「あそこの道、あいつが一番知ってるはずなんですけどね」と、大樹が首をひねっていた。神谷が「シン、どうかしたか」と尋ねても、返事はない。少し前から頭が痛いようだ、と大樹が横から付け足したが、医者に見せた様子はなかった。シンは黙って首を振っただけだったという。

「南に行くな」というのは、この島に昔からある言い草だ。オジイが言うから、というだけでもない。誰に聞いても「なんとなく」としか返ってこない。禁止されているわけでも、看板が立っているわけでもない。守る人もいれば、気にせず出入りする人もいる。それくらいの温度感のまま、十五年やってきた話だった。

ちょうどそんな時期に、年の半分をこの島で過ごすリン・ジェイコブスが、今シーズンも姿を見せていた。オジイの数少ない同世代の友人だ。北浦の浜で二人並んで竿を垂れている姿を、見かけた者も少なくない。二人はいつもとさして変わらない様子で、ときどき短く言葉を交わしながら、ただ静かに海を見ていた。

崩落箇所に長く居座ると、耳鳴りや頭痛を覚えることがある——そんな話も、今週はぽつぽつと聞こえるようになっていた。何も感じなかったという者の方がずっと多い。原因は誰にも分からない。ただ、現場を離れればじきに治まるという点だけは、皆おおむね一致していた。

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